検診で「コレステロールが高い」と言われました…更年期と関係あるの?

患者さん

安井先生、今年の健康診断で“薬を飲むほどではないけれど、悪玉コレステロールが高い”って言われたんです。特に食生活は変えていないのに、どうしてなんでしょうか? 49歳なのですが、生理は半年前にあってからありません。

安井医師

よくあるご相談ですね。閉経に近づくと、特に食べ過ぎていなくてもコレステロールの値が上がってしまう方が多いんです

患者さん

そうなんですか?やっぱり年齢のせいなんでしょうか。

安井医師

“年齢のせい”というよりは、“女性ホルモンの変化”も大きく関係しています。実は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、骨だけでなく“脂質の代謝”にも深く関わっているんです。

患者さん

脂質の代謝にも関係があるんですか?

安井医師

はい。エストロゲンには、“悪玉コレステロール(LDL)”が上がるのを防いだり、“善玉コレステロール(HDL)”が減らないようにしたりする働きがあります。ですから、エストロゲンが減少する更年期以降は、同じ生活をしていても血液中のコレステロールバランスが崩れやすくなるんです。

患者さん

なるほど…。食べ過ぎが原因じゃないのに上がってしまうのは、そのせいなんですね。

安井医師

ただし、この時期、運動習慣が減ってきていることも重要です。更年期の時期の女性は家庭や仕事などで何かと忙しくなって、運動が疎かになっていることがあります。食生活や運動習慣は基本的に重要ですので注意が必要ですが、更年期に入ってからのコレステロールの変化には“女性ホルモンの減少による体の変化”も深く関わっています。

患者さん

わかりました。では、このまま少しずつ高くなってきているコレステロールを放っておいても大丈夫でしょうか?

安井医師

放っておくのではなく、きちんとチェックしていくことが大切です。悪玉コレステロールの値が上がってくれば、まず食事や運動などの生活習慣の見直しを行います。更年期の時期は自分の体を見直すよいタイミングです。何が問題で脂質の異常が起こっているのかを考えてみましょう。悪玉コレステロールの値によってはコレステロールを下げる薬を検討することになります。

患者さん

はい、これからは結果を見ながら、主治医の先生と一緒に考えていきたいと思います。

まとめ

・更年期以降、食生活が変わらなくてもコレステロール値が上がることがある。
・これはエストロゲンが“悪玉を抑え、善玉を守る”働きをしているため。
・数値を定期的にチェックしながら、主治医と相談して生活習慣の見直しや治療方針を検討することが大切。

(執筆:安井医師)

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