「たかがほてり、されどほてり」意外と知らない更年期のはなし

はじめに

更年期についての研究では、知識や情報を多く持っている人ほど、更年期症状が軽くすむ傾向があることがわかっています。
正確な情報を知ることで、症状への対処ができるようになり、不安も軽減されるのでは?と私たちは考えています。

反対に、「この症状、なんだろう……」と知らないまま不安を抱えてしまう方も少なくありません。

以前はテレビや雑誌、新聞から情報を集めるのが主流でしたが、今ではインターネットで手軽に多くの情報に触れられるようになりました。とはいえ、情報が多すぎて何を信じていいかわからない…という声もよく耳にします。

そこでこのコラムでは、更年期にまつわる“あれこれ”を少しずつ、やさしく、わかりやすくお伝えしていくことにしました。

「これって更年期?」
「どこまでが普通で、どこからが受診の目安?」
「薬は使った方がいいの?」

そんな疑問をひとつずつ、一緒に学んでいけたらと思います。
「こんなことも知りたい!」という声があれば、ぜひ聞かせてください。

たかがほてり、されどほてり

たとえば、こんな経験はありませんか?

  • 職場で自分だけ「暑い、暑い!」と汗をかいてしまう
  • 上半身や顔がカーッと熱くなる
  • 朝起きたら、パジャマが寝汗でびっしょり…

これらは、「ホットフラッシュ(ほてり)」と呼ばれる典型的な更年期症状です。

若い頃にはしっかり分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)は、年齢とともに少しずつ減っていきます。生理の周期が乱れはじめる頃から、こうした「ほてり」や「のぼせ」などの症状があらわれやすくなります。

「我慢してればそのうち消える」は本当?

「ほてりくらい、放っておいても大丈夫」
「我慢していれば、そのうち消えるよね」

そう思っている方も多いかもしれません。

たしかに、軽度な症状であれば様子を見るのもひとつの選択です。実際、多くの方にとっては自然に落ち着いていくこともあります。

でも、「毎日の生活に支障がある」「つらくて困っている」という場合には、我慢せず、一度ご相談いただくことをおすすめします。適切な対処や治療を知ることで、生活がずっとラクになるかもしれません。

次回は、「ほてりを我慢するとどうなる?」――ドミノ倒しのように体と心に影響する仕組みについて、わかりやすくお話しします。

(執筆:安井医師)

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