子宮頸がんを防ぐために。HPV検査をご存じですか?
子宮頸がんの原因はHPV感染
こんにちは、院長の岡田です。
今回は、子宮頸がん検診と並んで注目されている「HPV検査」についてお話します。
子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの持続的な感染です。HPVには多くの型がありますが、そのうちの一部、特に16型や18型といった「ハイリスク型」に感染することが、子宮頸がんの発症と深く関係しています。

HPV検査とは?従来の検診との違い
これまでの検診では、「細胞診(子宮頸部の細胞をこすって異常の有無を調べる検査)」が中心でした。近年では、ウイルスそのものの有無を調べる「HPV検査」が注目されています。
この検査では、子宮頸がんのリスクを左右するハイリスク型HPVに感染しているかどうかを直接確認できます。
HPVが陰性であれば、将来的ながんリスクは非常に低く、逆に陽性であった場合には、細胞診に異常が見られなくても注意深い経過観察が推奨されます。 このように、細胞診とHPV検査を組み合わせることで、より正確なリスク評価が可能となります。
30歳を過ぎたら考えたい、HPV検査という選択
全国的に、子宮頸がん検診にHPV検査を取り入れる動きが広がっており、近い将来、公費負担でHPV検査が定期検診に組み込まれる予定です。ただし、現時点では自費でのオプション検査として提供されています。
HPVは非常にありふれたウイルスであり、20代では一時的な感染が多く、自然に排除されるケースがほとんどです。そのため、若年層で陽性と判定されても過度な心配は不要であり、むしろ検査によって不安が強まることもあります。
こうした理由から、HPV検査は30歳以上の方に推奨されており、5年に1度程度の定期的な検査の併用をおすすめしています。
子宮頸がんのリスクをより的確に把握することで、安心して検診を受け続けることができます。HPV検査は特別な操作を必要とせず、通常の子宮頸がん検診(細胞診)で採取した検体を用いて実施できます。
ご希望の方は、外来時にお気軽にご相談ください。(自費の場合:6,050円)
※なお、子宮頸がん検診で軽度の異常(ASC-US)が見つかった場合は、保険適用でHPV検査を行います。
予防できるがんを「知ること」から
子宮頸がんは、「検診」と「HPVワクチン」で予防が可能な数少ないがんです。自分のリスクを知ることが、未来の健康を守る第一歩になります。
(執筆:岡田医師)
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